相続する不動産を売却するために知っておきたい一連の流れと注意点

2022-02-07

相続する不動産を売却するために知っておきたい一連の流れと注意点

この記事のハイライト
●相続する不動産を売却するには遺産分割協議で相続人全員の同意が必要
●交渉の代表者と売却金額の最低ラインを決めておくとスムーズに売却できる
●相続した不動産をそのまま売却するときでもいったんは相続登記が必要


相続が発生したときに、相続する不動産を売却し現金化してから遺産分割する場合、何もわからない状態で進めてしまうと思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。
今回は、不動産を相続して売却するまでの流れや注意点、またその際に必要な相続登記とはどういったものなのか解説します。
相続不動産の売却を検討中の方のご参考にしていただけたら幸いです。

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相続した不動産を売却するまでの流れ

相続した不動産を売却するまでの流れ

まずは、相続した不動産を売却するときの一連の流れを押さえておきましょう。
1.死亡届の提出
死亡届は被相続人が亡くなってから7日間以内に提出することが法律で義務づけられています。
2.遺言書の有無を確認
被相続人が遺言書を残しているかによって、このあとの手続きが違ってきます。
自宅を探すことはもちろん、公正証書遺言が残されていないかも、公正役場の「遺言検索システム」で確認しましょう。
3.相続財産目録の作成と相続人の確定
不動産を含む相続財産の目録を作成します。
それと同時に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを遡って、相続人を確定させる作業を進めます。
4.遺産分割協議
相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を開き、誰がどの遺産を、どれだけ相続するかを決めます。
話がまとまったら、「遺産分割協議書」を作成します。
5.相続登記(相続による所有権移転登記)
不動産に関しては、被相続人の名義から、相続すると決まった人の名義に所有権を移転する、相続登記をおこないます。
6.相続した不動産を売却する
相続登記が完了し、所有権が移転したら、不動産を売却することが可能になります。
売却自体は通常の不動産売却の流れと同じです。


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不動産を相続して売却するときの注意点

不動産を相続して売却するときの注意点

不動産を相続して売却するときの注意点として、以下の4つを解説します。

遺産分割協議で全員の合意がなければ売却できない

被相続人が遺産として残した不動産は、どのような形で相続するかを遺産分割協議で決めることになりますが、その際には全員の合意が必要になります。
たとえば3人兄弟が遺産として土地付き一戸建てを相続した場合、2人が「現金化して平等に分けたい」と考えても、1人が「自分が生まれ育った家を売りたくない」と反対すれば、売却はできません。
相続人の人数が多くなるほど、権利や意見を主張する人が増えて、売却が難しくなる可能性があります。
まずは売却に向けて、合意形成に努めることが大切です。

売却を進める代表者を決める

売却することに全員が合意したら、媒介契約を締結したり、購入希望者と交渉を進めたりする代表者を決めておくことも大切です。
なにかあるたびに、異なる人物が話し合いに向かうのは現実的ではなく、混乱を生じてしまいます。
また売却に際しては、測量や、場合によっては建物の撤去などで費用が発生することもあります。
そのような諸費用は誰が立て替えるのか等、事前に決めておきましょう。

売却額の最低ラインを決めておく

相続不動産を売却して分割しようとするときには、売却金額でトラブルに発展することが多々あります。
不動産売却では、購入希望者からの値引き交渉があるのが一般的ですが、代表者が同意した金額に、ほかの相続人が「安すぎる」とクレームをつけるといったパターンです。
そんに事態に陥らないためにも、あらかじめ売却額の最低ラインを決めておくことが重要です。
その範囲内であれば、代表者に決定権を持たせておき、売却額の最低ラインを割るときには持ち帰って相談するとしておくと、交渉をスムーズに進められます。

相続不動産を売却する場合もいったん相続登記が必要

被相続人の不動産を、誰も住むことなくそのまま売却するなら、そのまま買主に名義を書き換えればいいのでは、と考えるかもしれません。
しかし、不動産はその所有者しか売却できないと法律で定められています。
そのため、いったんは相続人に相続登記する必要がある点にも注意が必要です。
相続登記については、次章で詳しく解説します。


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相続した不動産を売却するときの相続登記とは

相続した不動産を売却するときの相続登記とは

それでは不動産を売却するときに必要になる「相続登記」について、詳しく解説します。

相続登記とは

相続登記とは、不動産を相続したときに、被相続人から相続人に名義を書き換えることを指します。
不動産は、登記上の所有者でなければ、売却することや担保に入れてお金を借りたりすることができません。
そのため相続不動産を売却して相続人で分け合いたいときには、いったん相続登記の手続きをおこなう必要があるのです。

相続登記しないことで発生する問題点

実は相続登記は、現在のところ義務とはされていません。
そのため相続が発生したものの、相続登記されることなくそのまま亡くなった人の名義になっている不動産は多く存在します。
しかし、相続登記しないままにしておくと、のちのちトラブルが発生する可能性があるのが問題です。
たとえば2人兄弟が相続したものの、相続登記を怠っていた場合、その2人が死亡すると相続権はその子どもに移っていきます。
それぞれに子どもが2人いると、相続人は4人に増え、さらにその4人が亡くなると、といった具合に、相続人が増え続けてしまうのです。
そうすると、いざその不動産を売却しようとなったときに、誰がどれだけの権利を有しているのかを調べるのが困難になり、また人数が多くなるほど意見をまとめるのが難しくなります。
このようなトラブルを避けるためにも、相続が発生したらきちんと相続登記をおこなうことが大切です。
また、法改正により2024年には相続登記が義務化されることになりました。
期間内に申告しなかった場合、過料を支払わなければならない可能性があるため、相続登記をおこなわないデメリットが大きくなります。

売却に際して考えられる相続登記の2つの方法

相続した不動産を売却するときでも相続登記は必要になりますが、方法は以下の2つが考えられます。
どちらの方法がいいかは、相続人の人数や、関係性によって異なるため、両者を比較して検討することをおすすめします。
共有名義のまま相続する
まず考えられるのは、相続人全員の共有名義のまま相続登記をおこなうことです。
相続人の人数が少なく、かつ全員が売却に合意し、さらに関係が良好であれば、問題は少ないと考えられます。
ただし共有名義で相続してから売却した場合、売却の契約直前に、「売却したくない。このまま残しておきたい」と言い出す人が現れるかもしれません。
そうなると売却が困難になり、改めて遺産分割協議をおこなう必要があります。

また、売却契約後から引渡し迄に相続人の誰かが引渡しを拒んだ場合、違約金を支払うことになるため、契約相手および親族内でもトラブルになる可能性があります。

代表者が相続する
相続人全員の合意のうえ、いったん代表者に相続登記して売却するのも方法のひとつです。
所有者が複数いると、契約書の作成時などに全員の署名捺印を要するなど手続きが煩雑になりますが、代表者1人だけが所有者となればその心配がありません。
ただし相続人が多いと、誰が代表者になるのかもめる可能性はあるでしょう。


まとめ

相続が発生した不動産を売却する流れや注意点、相続登記の概要などを解説しました。
相続した不動産はトラブルの原因になりやすいため、相続人としっかり相談したうえで、相続登記や売却をおこなうようにしましょう。
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